NPO法人Initiative for Social & Public Health
設立趣旨書
幸せを感じられる社会とはどのような社会だろうか。日本は戦後の厳しい境遇から、先達の必死な努力によって世界に冠たる経済大国となった。だが、人の一生において生活の質を左右するのは、経済的な成功だけではない。むしろ、生きがいを持って健康に暮らすことこそに幸せを感じるのではないか。皆にそのような幸せをもたらしてくれる仕組みとして、我々の社会は発展途上にある。
保健分野に目を向ければ、医療の質や医療サービスへのアクセシビリティは格段に高まり、日本は長寿国の一つとなった。しかし現在の我が国には、生活習慣病などの慢性疾患の増加、深刻さを増すメンタル・ヘルスの問題、医療や介護を必要とする高齢者の増加、医療・介護・福祉の担い手たちの疲労、社会保障費の膨張、コミュニティの希薄化など、旧来の発想・システムでは対応できない問題が山積している。これらの解決には、新たな保健医療体制の構築が求められ、そのためには、公共の健康を幅広く見据えたパブリック・ヘルス・マインドの存在が重要な意味を持つ。
パブリック・ヘルスは経済的合理性の点から活動を実現することが困難なケースも多い。また、専門的な知識・知見が必要とされる場面は増加しているものの、日本ではそのような人材は限られている。だが、パブリック・ヘルスを共に学んだ私たちは、様々な世界で幸せな社会づくりに貢献できることを願っている。同様の志を持つ者たちが、多様な経験と時間と知恵とを少しずつ持ち寄り、協働することで、社会と公共健康に資することができると我々は信ずる。
この協働は、ひとときの思いで終わらせるべきものではない。パブリック・ヘルス・マインドを持つ者が結集し、公共性・透明性を兼ね備えた、安定的で継続的な組織を構築する必要がある。そして、その目的に鑑みると、非営利を旨とした市民参加型の組織形態が最も望ましい。
以上を踏まえ、幸せを感じられる社会づくりに持続的に貢献するパブリック・ヘルス集団として、我々はNPO法人Initiative for Social & Public Healthを設立する。
平成25年3月16日 NPO法人Initiative for Social & Public Health 設立者一同